勤務する医師の新型コロナウイルス感染が認められた済生会宇都宮病院は2020年4月15日、全ての外来初診と同医師が勤務する整形外科の外来初診・再診の休診、手術の延期を行っていましたが、本日(2020年4月16日)、関係者のPCR検査陰性を受けて、外来診察を通常通り再開しているとのことです(公式発表)。
なお、昨夜(4月15日)、済生会宇都宮病院の野間重孝院長および篠崎副院長が経過と現状について発表を行っています。宇都宮市が行った発表に加える形で、より踏み込んだ詳細情報を伝える形となりました。以下は、当発表を踏まえ、改めて同医師の行動と経過を整理します。
・2020年3月27日(金)〜28日(土)に参列した葬儀は祖母のもの。新潟は同医師の故郷とのこと。
・本人は多忙で、28日(土)の内に新幹線で宇都宮に戻る、宴会などへはもちろん参加していない。
・感染症予防については基本対策を遵守し積極的に対処を行っていた
・3月30日(月)には済生会宇都宮病院に勤務。帰宅後発熱、38度台まで上がる
・3月31日(火)も熱が続く。
・4月1日(水)に解熱するも頭痛や食欲不振が続く
・4月3日(金) 市内医療機関?を受診、風邪と判断され感冒薬を処方
・2020年4月6日(月) 済生会宇都宮病院の外来を受診。国の新型コロナウイルス感染判断の基準として「4日以上の発熱が認められる」というものがあり、これに該当しないためPCR検査は行わなかった。レントゲン検査で肺炎の像は認められず、その他症状・異常もないため勤務再開へ。
・2020年4月7日(火) 宇都宮中央病院に勤務
・2020年4月8日(水) 済生会宇都宮病院に勤務
・2020年4月9日(木) 済生会宇都宮病院に勤務・この日は外来患者30名の診察にあたる。医師も患者もマスク着用で短時間接触。保健所は全員に電話連絡を入れている。
・2020年4月10日(金) 県外の医療機関Bで診療支援として日帰り勤務(新幹線・医療機関のバスで移動)
・2020年4月11日(土) 県外の医療機関Cで日帰り勤務(新幹線・在来線で移動、マスク着用)
・2020年4月12日(日) 休暇につき自宅に滞在
・2020年4月13日(月) 済生会宇都宮病院に勤務・外来で患者1名を受診
・2020年4月14日(火) 宇都宮中央病院で依頼勤務。新潟市居住の母親が、PCR検査の結果陽性判明。本人は、帰国者・接触者外来で検体を採取して、宇都宮市環境衛生試験所でPCR検査を実施。20時頃陽性判明。
濃厚接触者としてPCR検査を行い陰性が判明したのは親しい友人とのこと。また、入院患者4名、医療従事者21名のPCR検査実施に言及されていますが4月16日に陰性が確認されています(なお人数などは当初発表と差異があります)。医療従事者の内訳は医師が7名、看護師4名、リハビリ技師7名、メディカルソーシャルワーカー1名、事務員2名)。
この発表時点(4月15日(水)夜)で、済生会宇都宮病院の外来診療体制は「全科において初診はすべて休診」、担当医が勤務していた「整形外科は初診・再診ともに休診」。入院患者の整形外科の手術はすべて延期、他の科の手術には影響がないとのこと。また、救急外来については整形外科以外は通常通り。なお、関係部署の消毒は実施済みで、入院患者および職員の健康観察などを継続的に行うとのこと。
この後、同院内のPCR検査は全て陰性であることが判明しており、本日(4月16日(木))外来診察は通常通り再開しています。
院長は「同医師の感染は院内感染ではありません。しかし、職員が感染した以上、院内感染の可能性も充分に考えなければならない。院内で感染が起こるようなことが無いように万全の注意を払っていきたい」と述べました。
(蛇足)
このケースの場合、感染した医師は感染症予防に積極的で、かつ国が定めるさまざまな基準を全てスルーしてしまっています。院長は「新型コロナウイルスはまだわからない部分が多い。感染した医師も特別なことはやっていない」と発言しており、この感染症の恐ろしさと、これを防ぐために国から振ってくる基準だけに依存することのリスクが浮き彫りになっています。
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