昔、栃木県宇都宮市に疫病が発生したことがありました。その事態終息の一役を担ったとして「黄ぶな」が郷土玩具として語り継がれています。
新型コロナウイルスの感染拡大にあたり、病気を無くす祈りの魚「黄ぶな」の存在と、故・立松和平さんの作品「黄ぶな物語」の関心が集まっています。
「黄ぶな物語」は新型コロナを彷彿とさせる内容
宇都宮の「黄ぶな」でしばしば語りつながれるのは、伝染病である天然痘が市中に蔓延した際、鯉のように大きな身体で黄色い身体をしたフナ(鮒)を食したことから、その伝染が終息に向かったというストーリーです。
立松和平さんの「黄ぶな物語」は、それとは少し異なっています。外部から宇都宮に来た人々が、長年森の中に住む老人との約束を破ったことから伝染病が蔓延。しかし、老人は、彼らを救うために、救済のアイコンともいえる「黄ぶな」を祈りによって川に放ったという内容です。
動画の最後に朗読の阿部早苗さんが「自然を大切にしなければならない」というコメントを述べられていますが、筆者はそれに加えて「人との縁」「他人への敬意」を忘れてはならないと感じました。それはまるで、今起こっている新型コロナウイルス感染症に対する人類へのメッセージのように感じました。
それでは、期間限定公開(2020年6月末)の作品をご覧ください。
黄ぶなを語り継ぐ
「とても親しみが持てるのですが、人の誤りをさとす魚なのです」
これはまるで、宇都宮民の資質を表しているようですね。
どうか、新型コロナウイルスが終息し、次の世代が平和になりますように。