民間調査会社のブランド総合研究所は本日(2020年10月14日)、都道府県の魅力度等調査の結果「地域ブランド調査2020」を公表しました。
この調査は、全国約3万人の消費者に対し、各都道府県と市区町村の魅力度やイメージ、観光・居住・産品購入の意欲など約110項項目に渡り回答を集め集計したものです。
「地域ブランド調査2020」における栃木県のラインキングは最下位の「47位」でした。トップについては、1位から5位までは北海道・京都・東京・沖縄・神奈川で、2009年から都道府県調査を開始していますが、現在に至るまで上位の構成はほぼ変わりません。
過去のニュースを見ると栃木県知事の福田富一氏が「2020年までに25位内に」という目標を立てているのですが、まったく数字に反映されていないという状況です。
2009年 40/47位
2010年 45/47位
2011年 42/47位
2012年 44/47位
2013年 41/47位
2014年 41/47位
2015年 35/47位
2016年 46/47位
2017年 43/47位
2018年 44/47位
2019年 47/47位
都道府県ベースの調査は1980年代から「魅力度」や「存在感」などの切り口で多数の調査が行われてきていますが、特にインパクトがあったのが2008年の日経グローカルにおける「知名度・地域ブランドランキング」で日本一影の薄い県としてワースト入りしたことでしょう。本日発表された「栃木ブランド調査」は別の切り口の調査ですが、地域ブランドの弱さが改めて記されたことになります。
ジャーナリストとしてまた調査スペシャリストとして、栃木・日本・世界で活動する立場から常々感じていることがあります。栃木の大きな課題は「情報」とその多様性です。あなたが知っていることは、相手は知らない、どこでなにが起こっているかわからない。また、自分たちが知っていることを、何も知らない相手に伝えるコミュニケーションをする人が少ないのも問題といえるでしょう。
このようなことから以下3つを最重要課題と考えています。
・「陸の孤島」
これは昔からいわれています情報鎖国が起きており今も悪化している・地域を越えた情報のやりとりが皆無・情報を軽視
・「メディア・広報が弱い」
情報メディアが全国と比較して薄い(茨城などもその傾向)・地域を越えた情報ネットワークが皆無→結局PR代理店で丸投げして終わり
・「地域に眠る魅力の価値創出をしていない」
むかしからあるいつもの名物・いつもの観光地を紹介するだけ・時代の変容などにあわせた価値創出が行われていない・価値を評価するのが地元の人だけという問題も。
とくに直近の動きで注目したいのが、巨額を投じた栃木県の「ディスティネーションキャンペーンです。インバウンド需要などで国内の旅行が急拡大している2018年に実施されましたが、インバウンド需要が急増する中で、それに見合う成長を達成することができませんでした。投資額からみると逆効果であった側面も否定することはできません。ホテルの室数が不足しているなどの課題はあったかと思いますが、そもそもの企画が「イベントを一杯やって、広告を打つ」という型にはまったものにしか見えません。
なぜこうなってしまうのか?上の3問題そのまんまです。「地域目線だけで考え」→「代理店に丸投げ」→「全国・全世界に向けた価値の再発見・コーディネートをせず身内で盛り上がるだけ」。
ブランドや存在感というのは、それを評価する消費者とのコンタクトポイントによって大きく変わってきます。その中で情報は最も大切ですが、今や、消費者自身の価値観が変容をし続けており、既成メディアに報じてもらえることだけがコンタクトポイントになるわけではありません。商品やその体験を消費者とともにリミックスしながら前に進めなければなりません。
栃木には無限の魅力が眠っていると日々感じています。
しかし、それを評価する人が限定されてしまっている。なぜならコンタクトポイント(接点)がないからです。そもそも何が評価できるかも分かってないのかもしれません。
それを発掘し、知ってもらうこと、それを体験してもらうこと、より多くの人に魅力を感じてもらえるようにすること、栃木を軸に全国世界へと定常的な関係性を構築すること。
栃木のブランドを向上するために必要なことは、意外とそれだけかも?と思ったりします。
・・・真面目に提言してしまいました。
【関連URL】
・地域ブランド調査2020