おしぼり事業で栃木県でシェアNo1、東北にも営業範囲を拡大する株式会社三協(栃木県さくら市氏家1150−3)は本日(2020年12月26日)、新工場での“レンタルおしぼり”の製造を一部再開しました。同工場は昨年のちょうど同じ日(2019年12月26日)の未明、漏電を出火原因とする火災により全焼の被害にあっていました。
別棟ではユニフォームなどを中心としたリネンサプライ事業の工場が建設中で、こちらも2021年3月頃に操業開始できる見込み。
おしぼり「三協」=家業をたたむことも考えた
布製品がひしめく工場内部は、乾いた冬の空気と相まって激しく燃え上がったとみられます。以下写真は2020年1月に撮影。焼け焦げて使えものにならなくなったおしぼりの山。この被害だけでも3000〜4000千万円に上るとのこと。
三協 代表取締役社長 添田泰弘さんは、火災が発生する数ヶ月前に代表に就任したばかり。火災発生の報を受け、三協創業者の父と母は涙も出ないほど途方に暮れ、いよいよ家業を畳まざるを得ないと落胆していました。しかし、添田泰弘社長は翌日には復活に向け歩み出していました。
従業員との対話、同業者の支援、そしてコロナ感染拡大
「頭の中は真っ白。片付けから各手続きまでやることが多くて、全く眠れない日が何日も続きました」(添田泰弘社長)
(写真は2018年時点のもの)
「工場が全焼してしまった以上、操業は続けられません。工場にとって大切な存在とはいえ、従業員70人を雇い続けるわけでにもいかず、どうすべきか非常に悩みました。最終的に70人全員と一人一人面談し、納得のいく形で退社していただくことになりました。
本当に辛かったです」。
三協のレンタルおしぼり事業は、近隣地域の同業者20社の協力により、おしぼりを仕入れることで供給を止めずに済みました。まもなく保険がほぼ全額支払われることがわかり、再建に向け大きく前進できると見えた2020年春。今度は新型コロナウイルス感染拡大による、飲食店の経営悪化という新たな打撃が加わることになりました。
「工場の再建が見えてきた中で、営業面の悪化はむしろもっと深刻でした。当面の資金を借り入れ、これも乗り越えていく決意をしたんです」(添田泰弘社長)
すべてをゼロから考え
それからの添田泰弘社長は、矢継ぎ早に復活に向けた活動を推し進めました。画期的な仕組みや機器を導入している全国各地の工場を視察。さらには新型コロナウイルス感染に対策として有効な「抗菌・抗ウイルスおしぼり」に注目。今回の工場再開では抗ウイルス加工(オーリス加工)を施す機械を導入し、生地上のウイルスを99.999%以上抑制することに成功しています。
「工場の一部操業再開で最も大きく進化できたのは工場内部の機械および一連のシステムのパフォーマンスです。洗浄能力が向上し、もっとも労力が必要だった袋に封入する作業の効率が、以前の1.5倍から2倍に向上したんです」
「また、これまで難しかった作業が大幅に楽になり、ミスなども大幅に減らすことができるようになりました。もちろん、火災に遭うまでもさまざまな工夫をしたり、新しい機材を導入するなどの取り組みを行ってきましたが、今回、工場をゼロから作り直すことで今まで考えもしなかったようなまったく新しい視点で工場全体をアップグレードすることができました」(添田泰弘社長)
本日の工場の一部操業再開にあたり、解雇せざるを得なかった従業員のうち25人が現場に復帰することが決まったたとのことです。
新しい三協は、社会に横たわる大きな不安を払拭すべく、これからもおしぼりを作り続けて欲しいですね。
株式会社 三協
栃木県さくら市氏家1150-3
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