「かならず儲かる」「不労取得が入る」「みんなやっている」このようなキーワードに弱い人がいるのかもしれません。
しかし、そういった弱みにつけ込み、不正なビジネスを持ちかける事業者が増加傾向にあり深刻化しています。現在、情報が乏しい地方都市が狙われており、中でも栃木は格好のターゲットで、最近では日本で禁止されている海外の暗号資産(=仮想通貨)の取引に加担するような投資勧誘セミナーなどの話が頻繁に耳に入るようになりました。
[参考] 消費者庁・金融庁・警察庁からの注意喚起
こうした勧誘は知識が無い人を対象に、友人や知人、所属団体などを介したセミナーなどで行われます。「みんながやっている」「儲かるのにやらないなんておかしい」と何度も追求され、投資勧誘にはじまり、次々と追加投資や商品・サービス購入を求められます。
そもそもが違法で、投資をした側、勧誘した側も罪が科せられる可能性があるにもかかわらず乗ってしまうのはなぜでしょうか?それは“情報に疎さ”+“マルチ商法”のコンボを使った巧みな手法をつかっているからです。
なぜ、だまされる?
新型コロナウイルス感染症拡大の最中、ある暗号資産事業への投資を勧誘するセミナーなどが宇都宮市内で行われていることがわかりました。この事業は、悪質な詐欺として世界中で多数の逮捕者を出した暗号資産「D9 club」の関係者が新たに設立したものです。
もちろん、そんなことはサイトや勧誘資料には記載されていません(というか「暗号資産の成功者」と紹介されています)。さらに、所在地や日本の法律に適合した解約の説明、リスクについての記載も見当たりません。
そもそも、無許可の金融資産の投資勧誘は違法です(参考)。また、現在、暗号資産については、日本は金融庁が認可した事業会社しか取引はできません。特に、海外の暗号資産案件等に対する勧誘は違法(参考)です。
またこの記事で取り上げる案件を含め、多くの暗号資産投資勧誘は「連鎖販売取引」いわゆるマルチ商法型で、友人知人を勧誘すると利益が増えていく“ピラミッド型”として、おもに経済団体や市民グループをターゲットに展開されており、「あの人が入ったから君も」というバンドワゴン効果(人が集まるほどさらに参加者が増える)を狙っています。そのため、問題を指摘する声が少なく、被害が拡大するケースも多々みられます。
こうした事例の具体的な被害例は山のように存在します。
[参考]こんな仮想通貨は怪しい?初心者が始める前に知っておくべき注意点
暗号資産投資勧誘マルチの手法
暗号資産の投資自体、手続きがパソコンやスマホで済んでしまう手軽さがありますが、逆に見えない部分が多く存在します。そこにマルチ商法(連鎖販売取引・ネットワークビジネス・MLM)が非常に巧妙に絡んでくるとさらに霧に包まれたような状態になります。
マルチ商法は定型的な勧誘パターンがあります。まず、以下のような言葉がセットに注意してください。話からすぐ抜けないと巻き取られる可能性があります。
・内容を伝えずに勧誘する「会わせたい人がいる」「新しい事業を説明したい」としてセミナーやミーティングに勧誘(違法です)
・「必ず儲かる」
・「不労所得欲しいよね?」
・「社会が不安定なのに、やらない理由がわからない」
・「ほかの人もやっている」
・「証拠がある」
・「お金はかかるけど、何倍も稼げるから」
知人や友人に強く何度も勧誘(ちなみにマルチ商法は何度も勧誘することは禁じられてます)されると、気持ちがゆらぐかもしれません。しかし、上のような加入キーワードに加え、以下のようなポイントも注意してください。
・運営母体の所在が不明
・リスクの説明がない(実際の数字が理想的過ぎる)
・金融庁が公開する認可リストに企業名が掲載されていない(ここは重要)
暗号資産投資マルチから逃れるには
暗号資産投資勧誘マルチは、ターゲットとして第一に「情報に疎い」人が狙われます。地方の被害者は高齢の方や主婦なども狙われます。かつ、友人知人・経済団体・市民団体などの組織への依存が高い人達を勧誘の母体として活用します。
これは、怪しい部分を指摘されたりしないような、友人・知人や仕事などの付き合いの中に入り込み断られないようにするためです。つまり、こうした暗号資産投資マルチ商法から逃れるためには「やらない」「かかわらない」ことをハッキリ公言し、不法行為に関わらないことを共通認識とすることが重要です。
栃木県が悪質なマルチ商法や暗号資産(=仮想通貨)の勧誘などの格好のターゲットになる理由は、地域情報メディアが乏しいことと、他の地域からの情報が流通しにくいこと、議論が少ないことなどが挙げられます。
違法性があり、友人知人を売る行為でありながら、暗号資産投資&マルチ商法の勧誘行為をする人は後を絶たないその理由は、一部の関係者だけが利益を蓄えられるピラミッド構造や、そもそもの不法を指摘する声が少ないからに他なりません。確かに、何もしないでお金が儲かるなら楽といえるかもしれませんが、無責任な取引で社会的な信用を失う可能性があることを忘れないで欲しいと思います。
暗号資産への投資について整理します。
・日本では認可を受けた事業者しか取引ができません。
・違法取引は、勧誘者や出資者なども罪を問われる可能性があります。
・そもそも、セミナーなどで無許可事業者が投資を勧誘すること自体が禁じられています
・多くの場合、知人・友人など紹介すると手数料が入るマルチ商法型で悪質
・友人・知人・組織・団体などで勧誘が始まった時は一人一人が断る勇気が必要
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